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初開催のホノルル・ビエンナーレ、9つのロケーションにて公開

今日は、アートのイベントのご紹介です。

2017年3月8日からホノルル市内各所にてホノルル・ビエンナーレが開催されます。「今、ここの渦中から(Middle of Now | Here)」と題したホノルル・ビエンナーレは、3月8日から5月8日まで太平洋地域を繋ぐハワイでダイナミックなコンテンポラリーアートを通して人々に芸術や文化の拠点、またアイディアや美学のグローバルな交流の場を提供します。
ワードビレッジを経営するザ・ハワードヒューズ・コーポレーションとホノルル・ビエンナーレ財団(HBF)主催の同イベントは、南條史生氏をキュレトリアル・ディレクター、ナヒラカ・メイソン氏をキュレーターとして迎え、9つの展示会場にて開催されます。本日すべての作品展示作業が終了し、明日より一般公開となります。

初開催のホノルル・ビエンナーレ、9つのロケーションにて公開

 

ビエンナーレの中心会場となるのはワイキキとホノルルのダウンタウンの間に位置するワードビレッジで、The Hub(旧スポーツオーソリティ)と歴史的建造物であるIBMビルディングを含むエリアには全部で25名のアーティストによる作品が展示されています。今回、ビエンナーレのリードスポンサーであるザ・ハワードヒューズ・コーポレーションの尽力により、このような場所での開催が可能となりました。他にもホノルル・ハレ(ホノルル市庁舎)、フォスター植物園、チャイナタウンのアーツ・アット・マークス・ガレージ、ビショップ・ミュージアム、ホノルル美術館、ハワイプリンスホテルワイキキ、イスラム美術&文化センターのシャングリ・ラ邸にて作品が展示されます。

初開催のホノルル・ビエンナーレ、9つのロケーションにて公開
旧スポーツオーソリティがザ・ハブに変身

 

3月8日~5月8日のイベント期間中、多くの場所は入場無料となっています。ホノルル・ビエンナーレ開催にあたり、地元や世界各国のアーティストによるアートとイベント参加者を結ぶ架け橋となり、ハワイを文化とアートの交流の場となるようにという願いが込められています。また、教育プログラムの一環としてホノルル・ビエンナーレに訪れる学校団体へのバスの無料手配などは、タイジ&ナオコ・テラサキ・ファミリー財団により提供されます。

「今、ここの渦中から(Middle of Now | Here)」と題した、ホノルル・ビエンナーレ2017 では、太平洋地域を繋ぐハワイでダイナミックなコンテンポラリーアートを通して芸術や文化の拠点、またアイディアや美学のグローバルな交流の場を与えます。太平洋の海は、地球の表面積の30%以上(大陸すべてを合わせたより広大)を占める地球上で最も大きなまとまった生活圏であり、その太平洋の中心に位置するハワイは、東と西の文化やコミュニティを結ぶ文化的架け橋となっています。

今回のビエンナーレ参加アーティストは、ハワイ、オーストラリア、ニュージーランドを含む太平洋諸島やアジア、北米出身の有名アーティストからこれからの成長が期待される新人アーティストまでが揃います。日本を代表する草間彌生(くさま やよい)、Lisa Reihana、Lee Mingwei、地元ハワイからはSean Connelly、Kaili Chun、Michelle Schwengel-Regala、Chris Ritson、Drew Broderickによる作品が展示されます。他にも森美術館館長、南條史生氏と元オークランド・アートギャラリー・トイ・オ・タキのマオリアート部門先住民アートの専門家ナヒラカ・メイソン氏がキュレーターとして集めたアーティストたちの作品が揃います。

展示作品(一部)は以下の通りです。

  • チームラボによるインタラクティブ型作品「Graffiti Nature」 は、サポートスタッフの指導の元、床に投影された映像の中に参加者が描いた絵をスキャンしたものがアニメーションとして動き、映し出されます。この最先端技術を使った作品は、参加する人に未知の体験を与えてくれます。今回のチームラボによる作品展示は、現場での参加説明ガイドの手配などを含めバンクオブハワイやタイジ&ナオコ・テラサキ・ファミリー財団、日本からの多大なる寄付やサポートにより実現しました。
  • ハワイを拠点とするアーティスト、Michelle Schwengel-Regalaによる「Water Coloumn 1-3」は、3つの手編みの金属ワイヤーを使用したオブジェで、太平洋の水質研究に基づいた作品となっています。3つの水柱は、海の深さと透明度を表現しており、それらは自然の力、人間の探究心、太平洋地域における汚染問題に対する答えへの追及を表しています。
  • 韓国出身のチェ・ジョンファによる作品はホノルルのダウンタウンに位置するホノルル・ハレ(市庁舎)でご覧いただけます。「Gather Together」 (2017) と題した作品は、ボランティアや慈善団体サステイナブル・コーストラインにより収集されたハワイの海岸に落ちていたプラスチック製のブイを集めて彫刻にしました。海に浮かぶ不用品をアート作品にすることにより不要になった普段は気にしていない物もアートとなり得るというメッセージを打ち出しています。
  • フォスター植物園に展示されているSean Connellyによる建築系アート「Thatch Assembly with Rocks (2060s)」 は、建築材料の主流として使われている輸入のスチールに対し、藁を基に作られています。自然にある資源を使用することにより伝統的な太平洋地域にある建造物に見られる特徴を再現しており、歴史的かつ文化的対話の復興をもたらす地域特有の建築に賛同しています。この作品は1959年にハワイが立州した年代に立てられた歴史的建造物を形容しています。
  • マーシャル諸島出身の詩人、ライター、ジャーナリスト、パフォーマンスアーティストとして活躍するKathy Jetn̄il-Kijinerによる3つのビデオインスタレーションは、今回コンテンポラリーアート展示として初登場となります。「Islands Dropped from a Basket」と題された3つのビデオからなる同作品は、ココナッツの葉で編まれたバスケット、海面が上昇するイメージ、ナレーションから構成されています。彼女は詩によりマイクロネシア諸島の人々がアメリカに自由に旅行できるようにするための協定合意に関する認知度の向上を訴えています。
  • Drew Broderickによるネオンサインとビニールの作品は「Billboard I(大地の生命は正義によって維持される)」(2017)と題され、ジョージ・カーターによるハワイでクック船長の死を描いた歴史的絵画に呼応した大型ビルボード作品。ビルボードによる広告はハワイ州で禁止されています。
  • Sama Alshaibiによるビデオ作品は、「Wasl」(2017)と題され2013年のベニス・ビエンナーレのモルジブパビリオンで発表された「Silsila」プロジェクトの続きとなります。アラビア語で「結束」を意味するWaslは、海面の上昇や水不足の結果世界的な集団移動にフォーカスした作品。環境災害はモルジブからハワイまで世界のあらゆる島々の問題とリンクしています。
  • Alexander Leeによる2つの部屋で展示されている作品は、1966年から1996年までフランス領ポリネシア諸島で行われた核実験に対するものとなっています。実験爆発には、南の空に光る一等星「アークトゥルス(ホクレア)」など星の名前がコードネームとして使用されており、作品には星型のモノタイプ印刷と手で形成した磁器のオブジェが展示されています。
  • AlfredoIsabel Aquilizanによるボートを使った展示は「Crossing Project, Another Country」と題した作品で、木製ボートやダンボールなどの素材から作られています。同作品は、1803年よりハワイに移民してきたサトウキビ畑の労働者たちを思い起こさせるものとなっています。一大ブームとなったハワイのサトウキビ産業の労働者として、中国をはじめ日本や韓国、フィリピンから多くの人々が移民してきました。
  • Marques Hanalei Marzanによる生地とファイバーを使用した「A`ahu Kino Lau」(2017)は、ハワイ神話に登場する4大神であるカナロア、カネ、ロノ、クーを称えた作品。彼らは天と地を支配する神として崇められている存在です。
  • アーツ・アット・マークス・ガレージにはMohammed Kazemによる「Directions(Honolulu)」(2017)が展示されています。Kazemのプロジェクトは、ホノルル・ビエンナーレに参加しているアーティストを地理座標を使い国境のない合流点を作り出しています。時として人種を隔てる壁となる考えや信念の境界線を打ち砕く為に多様人種が集うイベントを利用するべきという彼の考えを反映させた作品です。
  • 「Magellan Doesn’t Live Here」(2012-2017)と題されたMariquita Micki Davisによるビデオ作品は、長い間忘れ去られていたサックマンと呼ばれた手彫りのアウトリガーカヌーを復元する物語を描いたドキュメンタリーです。2016年にグアムで開催されたパシフィックアートフェスティバルにアウトリガーカヌーを送ったことは、島の人々が太平洋の島々に戻ってくるという物語と重なります。
  • ビショップ・ミュージアムに永久保存してある祭主のコスチュームに共鳴する形で制作されたLisa Reihanaによるビデオ作品は、太平洋の歴史や現代的解釈をした神話を表現したもので、ビショップ・ミュージアムに展示されています。
  • ハワイにも時折滞在するJane Chang Miによる作品は、パールハーバーの爆撃と自然環境、歴史を題材としています。海洋研究家としても活躍する彼女は、土地政治とポストコロニアルの自然環境を中心に研究しています。1990年から1996年の間にUSSアリゾナとUSSユタの沈んでいる海中撮影したビデオや歴史的事象、真珠湾攻撃による影響と生態系の変化などを取り上げた作品になっています。
  • ニューヨーク大学のアジア・パシフィック・アメリカ研究所のアーティスト・イン・レジデンスとして他分野で活躍するアーティストであるBeatrice Glowは、作品を通してコロニアリズム理論に関する研究・解釈が異なるメディア形態で体現しています。17世紀から19世紀の間に行われたスパイスの物流に関する歴史を見直し、インドネシアにある小さい島、バンダ諸島で作られるナツメグとメースにフォーカスを当てた作品となっています。
  • Les Filter Feedersとして活動する二人のアーティスト、キース・タレットとサリー・ランドバーグによる作品は、コミュニティ意識の発達と成長、さらにそれらがどのように世界に広まっていくのかを描いたシリーズです。ハワイを拠点とする彼らにより、日常会話や地元に根付くユーモアセンスを用いて、大小問わずコミュニティ形成がどのように行われるか、また、コミュニティ内での個人の役割についてを追求した作品となっています。

アーティストによる作品展示のほかにも、異文化交流と現代アートに対する理解を広めることを目的とした無料プログラムも開催されます。アーティストやアート関係者によるパネルディスカッションや試写会、ご家族で楽しめるアートのワークショップが行われます。プログラムの詳細は、ウェブサイトにてご覧いただけます。

イベント初日となる3月8日(水)に開催されるオープニングセレモニーでは、ネイティブハワイアンのアーティストでありクプナ(ハワイ語で「年長者」の意)のAl Laguneroによる新作「The Nature of Nature」(2017)が発表されます。これは京都の高山寺に住んでいた明恵(1173年~1232年)が書いた「島への手紙」からインスピレーションを受けた作品となっています。ホノルル・ビエンナーレの参加アーティストとキュレーターも参加するとともに、Marques Hanalei MarzanによるファッションショーやTavana and Lopakaによるライブ演奏、フードトラック、Mori by Art + FleaのポップアップショップなどがThe Hubにて開催予定です。

 

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